本気で心配してくれた看護婦さん3
福田さんは素直に言いました。
「君みたいな人のことを本当の白衣の天使って言うんだろうな」
「からかわないで」
「からかってなんかいないよ、ほんとに感謝してる」
「私はただ、看護婦として当然のことをしたまでです。感謝ならこれまで何度も心配して迷惑をかけた婦長さんたちにしてください」
「うん、それはよくわかってる」
「さ、熱を計りましょうね」
「あの、何かお礼をしたいんだけど」
「とんでもない。その気持ちだけ、いただいておきます」
「……いや、あの」
「えっ?」
「いえ、なんでもないです」
福田さんはいつしか、京子さんのことが女性として気になるようになってきました。でも、入院中はなかなか自分の気持ちを伝えられずに、退院の日を迎えました。
最後に京子さんに病院のロビーまで来てもらいました。
「ホントにどうもありがとう」
「いいえ」
「君のお陰だよ」
「そんなことないわ」
「もう会えなくなるのかと思うと、何だか淋しくてさ…」
「そんなこと言って、また入院なんかしないでくださいよ。もうタバコはダメですよ」
「わかってます。もう吸いません。で、これからもその…」
「何ですか?」
「会えないかなあ、と思って」
「ムリですよ、福田さんだって仕事があるでしょうし、私もまだがんばらなくちゃ」