ヤエヤマヒメウツギがしげしげ~

ヤエヤマヒメウツギがしげしげ~です。

お母さんと息子3

「そんな口きくのやめなさい、正人ッ」

「悪かったな、どうせあんたらの子供じゃねえからな」
「いつまでもすねるなんて、いい加減にしなさいッ!」


ここでお母さんお決まりのビンタです。


「痛えじゃねえかよッ」
「お母さんがいったい何したって言うの?」


「チッ…母親ぶって偉そうなんだよッ」
「正人…お母さんは」
「泣き落としはもうたくさんだよッ」


正人さんは両親をまったく受け入れませんでした。あるときは静かに黙っていたお父さんと、言い合いになりました。


「いつまでそんなこと言ってるんだ!おまえはオレたちの子どもなんだよ。血なんかつながっていなくたって、オレたちが選んだ子どもなんだ、それのどこが不満なんだ!」


「勝手に決めるんじゃねえ。あんたに選ばれなくたって、オレの人生なんてどうだってよかったんだ。だって、そうだ、オレがジャマだったんだ。だからほんとの親がオレを捨てたんだろ。オレは捨てられたんだよ。それでいいよ。拾ってやったみたいな顔するんじゃねえよ」
「正人!」


お父さんと取っ組み合いのケンカにもなりました。そして、思わずお父さんと組んだとき、お父さんの力のなさに一瞬、正人さんはなんだか無性に悲しくなったのだとか。


それからも、勉強は手につかないままでした。