本気で心配してくれた看護婦さん
いまはお孫さんも何人かいる福田さんの思い出話を聞きました。いまからもう50年以上も昔のお話です。
当時、20代の若さで福田さんは入院生活をしていました。胸を患っていて、医師の診断で「再起不能」と言われたこともあって、希望も持てず、すさんだ心で毎日を送っていました。
今では考えられませんが、病院の規則を破ってベッドで好きな煙草をスパスパ…。当然、婦長さんの目にとまり、怒鳴られました。
「なにやってるの、福田さん!あなたタバコ吸っちゃいけないって言われてるでしょ!それにほかの患者さんもいるのよ!その人達まであなたは危険にさらしているのよ!いい加減にしなさい!」
それはもうヒステリックに怒られたそうです。当然のことですね(笑)。
「なんだよ、俺ばっかり目の敵にしやがって…」
ひねくれていた彼はますます反発して、煙草をやめようとしませんでした。そんな彼に呆れたのか、諦めたのか、もうどうにでもなれと匙を投げたのか。
婦長さんもほかの看護婦さんも、しばらくすると何も言わなくなったそうです。ちなみに、昔は看護師さんじゃなくて看護婦さんと呼ばれていましたね。
そんななかでもただ一人だけ、彼にタバコをやめるよう、熱心に言い続けた看護婦さんがいました。