本気で心配してくれた看護婦さん2
その人が京子さん(仮名)でした。
「煙草また吸ったわね、婦長さんに聞いたわよ」
「もう放っといてくれませんか、京子さん」
「ダメ。肺の病気なのに煙草なんか吸ったらよくないってこと、わかってるでしょ」
「いいんですよ、もう…」
「何がいいんですか!そんな弱気じゃ、治る病気も治りませんよ」
「俺はどうせ再起不能で死ぬんだよ」
「福田さん!」
「…うるさいなあ」
「私は何と言われても言い続けますからね。それが看護婦としての役目ですから」
こんな具合に、彼女は熱心に福田さんの面倒を見てくれました。福田さんはその姿に胸を打たれるようになりました。
そして、煙草をやめようと決意したのです。
「あれ、今日はタバコのニオイがしませんね、福田さん」
「今日は禁煙中なんだ」
「へえ、すごいじゃないですか」
「療養に専念することにしたよ。京子さんが怖いからね」
「フフフ」
笑って受け流す京子さん。その後、福田さんは月日の経過とともに、すっかりタバコをやめることができました。すると、食事もおいしく感じられるようになりました。
「よかったわ、やめてくれて。体の具合、だいぶよくなったでしょ?」
「ああ、君にもずいぶん迷惑かけちゃったね…ごめん」
「いいえ」