お母さんと息子2
「なんでいままで黙ってたんだよ、養子だってこと」
「いつかわかるときまではと思ってね…」
「なんだか、裏切られたような気分だよ」
「正人…」
それはまったくの本心ではなかったのです。でも、その時、何もかもが信じられなくなったのも事実でした。
いろんな感情がグチャグチャになって、口をついて出てしまった言葉。
それからは、ちょうど反抗期ということもあって、正人さんはなにかと親に反抗するようになっていきます。
「バカヤロー!親でもないのに、いちいち俺に干渉するな!俺が何しようと俺の勝手だろう!」
「正人、お母さんの言うことも聞いてちょうだい」
「お母さん、お母さんってな、恩着せがましいこというんじゃねえよ!」
「正人!今まであんたに言わなかったのはね」
「言い訳なんか、聞きたくねえよッ!」
こんな日々のくりかえし。まったく勉強も手につかなくなって、参考書も破ってしまいました。
「正人!何してるのッ?!」
「見りゃわかるだろ。俺、勉強やめたんだよ」
「どうしてッ?」
「勉強する必要なんかねえからさ」
「進学するって言ってたじゃないの」
「じゃ聞くけどよ、なんで大学行かせたいんだよッ?俺がいい大学行って、いい会社入って、たくさん金もらえば、自分達が楽できると思ってるからだろッ?」